インスリンが非肥満型糖尿病マウスのACE2活性と腎機能に与える影響

インスリンが非肥満型糖尿病マウスのACE2活性と腎機能に与える影響

本研究では非肥満型糖尿病（NOD）マウスを用いて、自己免疫型糖尿病（人間の1型糖尿病に似ている）がどのように進行するかを調査した。

糖尿病初期段階では、尿中アルブミン排泄量が増加し、糸球体が拡大して腎臓の濾過率が上昇するが、糖尿病が進行すると糸球体ポドサイトの数が減少し、腎臓に構造的変化が見られた。

インスリン投与は初期段階でこれらの変化を抑える効果があり、後期段階の変化も予防した。

糖尿病によりACE2の活性が血清及び尿中で増加し、インスリンはこれを初期及び後期段階で正常化した。

この研究はインスリンが糖尿病性の腎症の発展を防止する可能性があることを示唆している。

活用案

この論文の知見を基に、糖尿病による腎障害の早期発見と予防対策が展開される可能性があります。

具体的には、糖尿病患者の治療方針を決定する際に、インスリン治療の早期導入が腎症進行の抑制につながる可能性があるため、医療現場で積極的に推奨することが考えられます。

よくある質問

Q: NODマウスモデルでの糖尿病の発症は人間とどのように似ていますか？
A: NODマウスは自己免疫による糖尿病を発症し、人間の1型糖尿病と多くの特徴が似ています。具体的には、膵臓特異的な自己抗体の存在や免疫細胞の反応が見られます。
Q: インスリンが腎機能に与える効果とは何ですか？
A: インスリンは糖尿病初期段階での尿中アルブミン排泄の増加、腎濾過率の増加、糸球体の拡大を防止し、後期段階での糸球体ポドサイトの減少や病理学的変化も予防します。

未来予測

この研究は、1型糖尿病の治療において、インスリンが単なる血糖コントロールだけでなく、将来的な糖尿病性腎症の予防にも有効である可能性を示しています。

今後の研究では、インスリンの腎保護作用に関する詳細なメカニズムの解明や他の治療法との比較が期待されます。

元論文はこちら: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0084683

---

← 前の記事を読む