インフルエンザ感染における肺CD103+樹状細胞の移動機能に対する補体メディエーターの重要性
インフルエンザ感染における肺CD103+樹状細胞の移動機能に対する補体メディエーターの重要性
この研究では、インフルエンザ感染時において、補体成分C3が肺の樹状細胞(DC)からドレーンリンパ節(dLN)への効率的な移動のために重要であることを明らかにした。
C3が不足すると、樹状細胞によるウイルス抗原の輸送が阻害され、特定のT細胞応答の誘発が大幅に低下する。
さらに、C3aおよびC5aがそれぞれC3aRおよびC5aRを介して直接シグナルを送ることが、樹状細胞の効率的なトラフィッキングに必要であることが示された。
ただし、肺の樹状細胞の中でC3及びC5を豊富に産生するのはCD103+樹状細胞のみである。
活用案
この研究成果を基に、インフルエンザワクチンに補体成分を組み込んだ新たなワクチンアジュバントの開発が考えられる。
これにより、樹状細胞のリンパ節への移動を促進し、より強力なT細胞応答を引き出すことが可能になるかもしれない。
よくある質問
Q: 補体成分C3は樹状細胞の機能にどのように影響しますか?
A: 補体成分C3は、樹状細胞が肺からリンパ節へ効率的に移動するために必要であり、これによりインフルエンザ特異的なT細胞応答の誘発が促される。
Q: C3やC5aのレベルが高まることでどのような影響がありますか?
A: C3やC5aのレベルが高まることで、これらが樹状細胞表面の受容体と結合し、樹状細胞の移動を促進するシグナルが送られるため、免疫応答の効率が向上します。
未来予測
補体系が樹状細胞の機能調節に果たす役割を理解することは、インフルエンザをはじめとする呼吸器感染症に対するより効果的なワクチンおよび治療法の開発につながる。
また、補体を標的とすることで、特定の免疫細胞の動員を制御し、感染症に対する保護効果を強化する新しい治療戦略が考えられる。
元論文はこちら: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.ppat.1003115
コメント
コメントを投稿