マウスにおける結核菌の持続にはグルコースのリン酸化が必要である

マウスにおける結核菌の持続にはグルコースのリン酸化が必要である



結核の原因菌であるマイコバクテリウム・チューバーキュロシス(Mtb)は慢性感染を確立し維持するために主に脂肪酸の代謝に依存していると考えられています。

しかし、Mtbは他の複数の炭素基質の共代謝も効率的に行います。

本研究では、Mtbの病原性における炭水化物基質の重要性を理解するために、糖解における最初の反応であるグルコースのリン酸化の役割を評価しました。

Mtbがグルコースを代謝する際に主要な役割を担う二つのグルコキナーゼの一つ、ポリリン酸グルコキナーゼ(PPGK)が必要なことを発見しました。

PPGKともう一つのグルコキナーゼGLKAの両方を削除したMtbの変異体は、グルコースを成長や代謝の基質として利用することができませんでした。

さらに、この変異体はマウスの肺での慢性感染時に正常に持続することができないことがわかりました。



活用案

研究で開発された知見を活用して、Mtbのグルコキナーゼに特異的に作用する新薬の開発が期待されます。

これにより、Mtbが持続する能力を低下させることができれば、治療効果を高めることが可能になるかもしれません。



よくある質問


Q: Mtbが二つのグルコキナーゼを持っている理由は何ですか?
A: Mtbは二つの異なるグルコキナーゼ、PPGKとGLKAを持っており、これによりグルコースを中央炭素代謝に取り込む能力が向上しています。特にPPGKは、グルコースを独自のエネルギー源として利用する際に重要な役割を担っています。
Q: GLKAの役割は何ですか?
A: GLKAもグルコースのリン酸化能力を持ちますが、PPGKほど効率的ではなく、Mtbがグルコースを唯一の炭素源として使用する場合の生長を十分にサポートするには不十分です。



未来予測

この研究結果は、Mtbがホスト内でどのようにして持続するかの理解を深めるものであり、新たな抗結核薬の開発に向けたターゲットとしてグルコキナーゼ活動が有望であることを示唆しています。

また、Mtbの代謝の柔軟性が病原性に重要であることが示され、炭素源としてのグルコースが慢性感染維持においても一役買っていることがわかりました。



元論文はこちら: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.ppat.1003116



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