内皮リパーゼの濃度は代謝症候群で増加し、冠動脈粥状硬化症と関連がある

内皮リパーゼの濃度は代謝症候群で増加し、冠動脈粥状硬化症と関連がある

この研究では、新たなリパーゼ家族の一員である内皮リパーゼ（EL）のプラズマ濃度が、代謝症候群の特徴および心臓病の早期指標である冠動脈カルシウム化（CAC）との関連を示していることが明らかにされました。

内皮リパーゼは高密度リポタンパク質（HDL-C、いわゆる「善玉コレステロール」）の代謝に影響を与えることが示されており、ヒトにおいてもこのリパーゼの濃度がHDL-Cの低下および動脈硬化のリスク因子として機能する可能性があります。

この研究はまた、内皮リパーゼの濃度が代謝症候群の複数の要素と正の相関があることを発見し、特に肥満や高血圧などのリスク因子と関連しています。

活用案

内皮リパーゼの濃度測定は、代謝症候群の診断やリスク評価に役立つ新たなバイオマーカーとして利用される可能性があります。

さらに、内皮リパーゼをターゲットとした薬剤による治療が動脈硬化や心血管疾患の予防に寄与するかもしれません。

よくある質問

Q: 内皮リパーゼとは何ですか？
A: 内皮リパーゼはリパーゼ家族の一員で、主に血管内皮細胞で発現され、HDLの代謝に関与しています。
Q: どのようにして内皮リパーゼが冠動脈粥状硬化症に関与するのですか？
A: 内皮リパーゼはHDL-Cの濃度を下げる作用があり、低いHDL-Cは動脈硬化と関連しており、内皮リパーゼが高い個体は動脈硬化のリスクが高いと考えられています。

未来予測

この研究によって、内皮リパーゼが代謝症候群および冠動脈粥状硬化症と強く関連していることが示されたため、内皮リパーゼの活動を調整または抑制する薬剤の開発が進められる可能性があります。

また、内皮リパーゼの濃度を測定することにより、個別の心血管病リスクの評価が改善されることが期待されます。

元論文はこちら: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pmed.0030022